111204 臼杵3(臼杵石仏2)

  最後は古園石仏。通称古園十三仏と呼ばれるが、特に中尊の大日如来像は日本石仏の中でも最高傑作のひとつといえる。高く秀でた眉、切れ長の伏し目に、ほのかに紅を刷いた唇が印象的である。資料によれば、「平成5年8月25日には中尊大日如来像の仏頭が復位され、昔日の荘厳な姿に復した」とあるが、個人的には修復前の仏体の下に安置されていた姿の方が様々な歴史を感じてよかったような気がする。
 古園石仏からは左手に満願寺が見え、周りの田んぼには刈り取られた稲わらがそのまま放置されている。手前を木材を満載したトラックが走る。だから、と聞かれても答えようがない。ただその景色が目に留まったのである。もうひとつ目に留まったものがある。送っていただいたパンフレットの中の「うすきがいど」の表紙に山頭火の作が載せられている。「しぐるるや 石を刻んで 仏となす」。

111202 臼杵2(臼杵石仏1)

 臼杵に行く以上、「臼杵石仏」を抜きにしての観光はない。高速を降りて左折。5分も走れば4群59体の磨崖仏が迎えてくれる。前に訪れたのは大日如来像の頭部が切り離されて仏体の下に置かれていた時だからずいぶん昔になる。
 駐車場にいた人の話ではゆっくり廻って30分ほどだということだったが、それこそゆっくりと心行くまで写真を撮りながら廻る。石仏は四つのエリアに分かれている。まずホキ石仏第一群20数体の仏が迎えてくれる。次のホキ石仏第二群では第一龕(がん)の阿弥陀三尊像、特に中尊阿弥陀如来像のどっしりとした豊かな姿が素晴らしい。次は山王山石仏。三体の石仏で中央の如来像は大きな身体の割には輪郭が丸く、目鼻立ちは童子のそれを思わせる。そのためか通称「隠れ地蔵」とも呼ばれているそうだ。

※「ホキ」=パンフには「岸險(がけ)」という意味の地名ですとある
※「龕(がん)」=断崖などを掘って仏を安置する場所