091013 阿修羅展(3) 邪鬼

 阿修羅展に行ってから、1ヶ月が経とうとしている。今更という気もしないではないが、原稿は書いていたのでやはり掲載することにします。けっこう書くことがあるのに、自分で驚いています。それにしても、コメントが来ないなー・・・・

 八部衆、とくに「迦楼羅(かるら)」から離れ難く、何度も後戻りをした。
最後に四天王を見る。寅さんで有名になった帝釈天の家来で、仏教世界の中心に聳える須弥山を守る役目を持つ。東西南北を守るのは、東に「持国天」、西に「広目天」、南に「増長天」、北に「多聞天」。重量感のある筋肉質で、守護神にふさわしい威容を誇る。「広目天」・「多聞天」という文字を見ると、情報収集のスペシャリストで、仏教界のCIAか、それとも、設置された視覚と聴覚のセンサーかなどとついいらんことまで考えてしまう。

 ところが、私のお目当てはカッコイイ四天王ではないのである。お目当ては四天王に踏みつけられている「邪鬼」の方だ。いつの頃からか、この邪鬼の方が気になって、気になって・・・・。邪鬼というからには、当然のことながら“悪しきもの”なんだろうが、四天王の踏みつけ方がどうも気に入らん。顔を踏みつけられてひん曲がっているもの(持国天)。踏みつけられて身体が二つ折りになったもの(広目天)など、まるで虫けらみたいな扱いである。ところが、よく見ると、踏みつけられて苦しいはずの邪鬼の表情が、少しも苦しんでいるようには見えないのである。どうかすると、踏みつけた四天王に見つからないように舌を出しているようにさえ見える。もちろん私の勝手な思いではあるが・・・・。

 これまで気になっていたのは、ここまで虐げるのか、かわいそうではないかという思いであった。ところが、今回、自分の目線の上にある四天王よりも、目の前で、そして、ぐるっと全てを見ることで、気になり方が変わってしまった。待てよ、虐げられた彼らにも、一寸の虫にも五分の魂。ただ負けてばかりでいるものか。今に見ていろよ、という敗者のたくましさを感じて、正義の味方に踏みつけられた彼らの方に親しみがわいてきた。